外国人雇用の留意点
雇用保険・社会保険の義務 外国人を雇用するには、日本人とは異なった届出書類が必要になります。 また、外国人労働者が退職する時は、その名前と在留資格等を、ハローワークに届出なければなりません。 雇用する外国人労働者が、雇用保険の対象となる場合には、在留資格、在留期限、国籍等を記載し雇用保険被保険者資格取得届を提出します。 また、雇用保険の対象とならない場合には、雇入れ、退職の翌月末日までに、管轄のハローワークへ外国人登録証明書又はパスポート、資格外活動許可証又は就労資格証明書を添付し外国人雇用状況届出書と一緒に提出します。 社会保険への加入は、正社員ではない場合には、常用雇用といえるかどうかによって判断します。そして、適用事業所で常用雇用する場合は、日本人であっても外国人であっても変わらず、社会保険に加入させる必要があります。社会保険に加入したくないという外国人も多いです。十分に理解させる事が必要になります。
雇用契約書
日本人と同様に雇用契約書を交わします。その時に労働条件を十分に理解させる事が大切になります。御社で働く外国人が日本語を十分に理解しているとは限りません。
会話は得意でも文字を理解していないという外国人は非常に多いです。特に漢字についてはほとんどの外国人が理解できないと考えて下さい。そのため、採用時に十分な説明を行わないと後々のトラブルとなります。外国語の労働条件通知書を用意する事によって、トラブルを回避する事が出来ます。また、外国人労働者であっても、基本的に日本の労働諸法令は平等に適用されます。したがって採用条件、就労条件などの面で、日本人との差別的待遇は許されないことになっています。
日本の文化を理解させる。母国の文化を理解する。
トラブルが起こる原因は理解不足が大半を占めます。いわゆるギャップです。外国人労働者は日本の文化や労働環境に疎いです。長期雇用や年功序列制度・長時間の会議・時間に対する厳しさ・曖昧な指示など。その反対に日本人が外国人労働者の母国の文化や習慣には疎いはずです。両国の【あるある】を理解する事により、そのギャップが埋まりトラブル回避へと繋がります。また、宗教によっても様々な考え方があるので従業員も含めて理解する事が大事になります。
不法就労者
現在、日本には在留資格外で滞在している不法在留者が増加しています。
特に技能実習生や留学生の失踪が目立っています。
不法就労の外国人を雇用している会社側にも責任があります。
不法就労と知りながら雇い続けた場合、「3年以下の懲役、若しくは300万円以下の罰金」という刑事罰が科される恐れがありますので絶対にやめましょう。
不法就労者であっても労働法は適用されます。
しかし、残念ながら不法就労者を安い賃金で意図的に雇う企業がある事も事実です。
不法就労が発覚した場合はすぐに出勤停止をした上で、新たらしい在留資格を取得する。
それが出来ない場合は解雇するしかありません。
外国人雇用のメリット・デメリット
【メリット】
海外進出への足掛かり
企業の発展を進めていくと必然的にグローバル化が視野に入ります。海外進出を検討している予定国の出身者を雇うことは非常にメリットがあります。現地の習慣や文化などの情報収集、マーケティング調査やコネクションと進出先の橋渡し役となります。
労働力確保
厚生労働省の平成29年外国人雇用状況報告まとめによれば、外国人労働者は約128万人(うち、技能実習生は約25万人)で前年比約18%増しとなっています。
また、外国人を雇用している事業所も約19万か所となり過去最高を記録しています。日本人の労働力不足に比例するように外国人の就労が増えているのです。技能実習生であれば転職する事は出来ないので3~5年間安定的に雇用する事が出来ます。
職場環境の改善
国を渡ってやって来る外国人労働者は、家族のためにお金を稼ぎたい、日本の技術を取得したい等の理由から、非常に勤労意欲が高いケースが多く見られます。
このような外国人労働者が職場に加わることで、他の労働者のモチベーションが高まります。また、異なる国ならではの視点から生み出される新たな発想は、職場にさまざまな刺激を与え、企業の活性化につながることになります。
【デメリット】
文化・習慣の違いより様々なトラブルとなります。
日本の常識が通じず、相手の事が理解できずにトラブルへ発展する事が多く見受けられます。特に外国人は弱者となり悲観的に物事を考える傾向にあります。このような事態に備え、事前に相手の育った国の環境や風習、文化に対する理解を得ておくことが必要となります。
コミュニケーション不足
日本人の曖昧な指示はトラブルの原因になります。『なるべく早く』『多めに頼んでおいて』などは外国人には理解出来ません。コミュニケーションツールとなる言葉や言語が異なる者同士が会話をする場合はより慎重に意思の疎通を図る事が必要です。
手続きが多くある
外国人労働者を雇う場合、日本人労働者を雇う場合とは雇用手続きの方法が異なり、必要書類の入手やある程度の手間がかかることを考えておかなければなりません。また、入国管理法など、外国人に適用される法律に対する理解も求められることに特徴があります。